導入経過
アロニアは北米原産のバラ科の小果樹で、約200年前にヨーロッパに移入され、ロシアには約100年前に導入された。日本では1976年、現ロシア農業技術交流事業を通じて種子を導入し、アロニアの実の栽培が始まった。現在、北海道には、ロシアと北欧経由の樹木があり、千歳市、恵庭市、伊達市(旧大滝村)などで栽培されている。ロシアでは北海道の街路樹としても馴染みのあるナナカマドに似ていることから、「黒い実のナナカマド」と呼ばれ、古くからジャムやジュース、果実酒として利用している。
期待される機能性
果実はアントシアニン色素を多く含むため、濃い紫色をしている。アントシアニンはブルーベリーの2倍以上も含まれる。北海道立食品加工研究センターなどがアロニアの成分を調べたところ、他の果実類に比べ、食物繊維、β―カロテンを多く含み、β―クリプトキサンチンとポリフェノールの含有も高いことが分かった。
機能性素材としては、果実を原料とする濃縮果汁や抽出エキスのほか、圧搾後に残った残渣を有効利用するための研究開発も行われたいる。
濃縮果実は甘味や酸味が強く、飲料や菓子などの原料に利用されている。また抽出エキスはポリフェノールを豊富に含み、サプリメントの原料として流通する。このほか、アロニアの濃い紫色を生かしたワインやアイスクリーム、ジャムなど数多くの製品が誕生している。
現在、アントシアニンのもつ眼精疲労軽減効果に着目したアイケア訴求の商品化が活発だが、官学連携による機能性研究で、抗肥満作用。血圧降下作用なども解明されており、メタボ対策にも大きな期待が寄せられている。
北海道における栽培の現状と展望
平成13年より北海道での栽培が始まり、51haまで生産は拡大したが、平成28年現在35haの栽培となっている。渋みが強く生食には向かないため、全量加工向けである。生産量が少なく、加工開発が進みにくいため栽培面積は減少傾向となっている。
現在の主産地
・伊達市(とうや湖農協)旧大滝村
・千歳市 アロニア協会
現在、組織、数量がまとまっているのは伊達市のみである。生産者を農業改良普及センター、市、農協が協力してサポート、販売はホクサンが加工メーカーに販売する体制が確立している。共選体制、残留農薬検査、金属探知器導入などの取り組みが信頼を得て、安定した取引である。
栽培上の課題と展望
マイナー作物のため登録農薬が少なく、モモシンクイガの被害が多い。現在、マイナー登録申請にむけ取組中である。量的に安定して生産できる産地が少なく、そのため、現在、大手食品メーカーからの引き合いが強まり、現在栽培されている生産者の意欲は高まっている。多くの大手メーカーは輸入品を使用している。産地の生産、販売のサポート体制が確立できれば、北海道に適応した機能性素材品目である。