導入経過
シーベリーはタワラグミ科の灌木で、英語名はシーバックソーン、学名はヒッポフェア・ラムノイデス。中国青海省、山西省、四川省、チベット、ウチモンゴルからシベリア、東欧などに広く自生する。中国ではサージと呼ばれる。8世紀、中国、唐時代の薬典「四部医典」には「潤肺(肺を潤し)、止痰(痰を除去)、止咳(咳を止める)、消五谷(食物を消化させ)食欲を増し、肝臓病を除去し、老化を防止する」と記載されているなど、古くから食効ある果物として利用されてきた。これまでシーベリーは気候、土壌などの面で日本での栽培は難しいとされてきたが、10数年前に北海道の企業がロシア原産の品種を導入し、無農薬による栽培に成功した。ロシア原産の品種は中国原産に比較して、一回り果実が大きい。

期待される機能性
果実は黄色で、ビタミンC、A、Eを豊富に含むほか、18種類のアミノ酸、鉄や亜鉛などのミネラル類、フラボノイドなど200種類以上の成分を含んでいる。高い抗酸化作用による美容・美肌訴求の商品として流通している。また種子に含まれるオイルにはオメガ7系脂肪酸などの不飽和脂肪酸やアミノ酸18種類を含む。フラボノイドやポリフェノール類など抗酸化成分も30種以上含む。

北海道における栽培の現状と展望
産地の動向
グリーンテクノバンクでシーベリー研究会を立ち上げ、士幌町、ひだか町(穂別)、鵡川町(遠藤組)余市町(ベリーベリーファーム)など生産への取り組みは広がった。2014年の栽培面積は5.2haである。しかし、近年枝にトゲが多く、収穫に多くの労働力を要するために、農家での経済栽培まで至らず、5ha程度で推移している。現在経済的な取り組みを行っているのは、むかわ町と余市町の2社のみである。シーベリー研究会は中止されている。

生産、加工上の課題と今後展望
生産ではトゲとトゲの間にへばり着くように着果している果実の効率的な収穫方法の開発である。 電動振動収穫を試みているが成功していない。そのため、原料が少なく、原料単価が、ブルーベリーの3倍、ハスカップの2倍と高いため、加工開発も進みにくい状態である。ジュース、白プリンなどが開発されている。機能性が豊富で色彩でも黄色と珍しい為、貴重な素材である。栽培上の課題が大きく、現状は栽培の拡大が困難となっているが、これらの課題を克服できれば、高単価で取引されているので、今後の普及拡大が期待される品目である。